先生が下さった

高校生の時に入っていた部活で、顧問の先生は部員の卒業時にトロフィーをプレゼントしておられました。
そのトロフィーには部員それぞれのこれまでの最高記録が彫られていて、受け取った先輩方は感激しておられました。
そんな先輩方を見て2年間を過ごし、3年生となってある日顧問の先生から「お前はトロフィー欲しいか」と聞かれて、「もちろん欲しいです」と答えますと、「じゃあ次の試合はこれまでで最高記録を出せ!その記録を彫ってやるから」と仰って下さいました。
実はその前の試合で、私は強化合宿を含めて連日かなりのハードトレーニングを積んで挑んだのですが、結果は目標のこれまでで最高記録を出せずに順位は2位で終わったのです。
それに悔し泣きをして、肩を落として試合会場を後にする姿を先生は見て下さっていたのです。
そのまま卒業してしまっては駄目になると、頑張るよう激励して下さったのでした。
先生からの励ましに気持ちは奮い立ち、もう記録の更新は駄目だとあきらめていましたが再びチャレンジする意欲が湧いて来ました。
それからこれまでにも増してトレーニングを増やし、自分の限界に挑みました。
そして迎えた試合当日、先生は特別だとマッサージして下さり、「これまでの成果を出せ!」とどんと背中を叩いて送り出して下さいました。
私は気合が入り、新記録を必ずや出すと試合に挑みました。
そして試合は無事終わり、その通りの結果が出ました。
これまでで最高記録です。
先生はとても喜んで下さいました。
私はそれが何より嬉しかったです。
その試合は高校生活最後の試合で、大変記念になりました。
それから数ヵ月後、卒業式を迎えました。
クラスでの行事が済んだら、部室へ集まるようになっていました。
そして部室へ入ると先生が「おめでとう」と迎えて下さり、一人一人にトロフィーを下さいました。
私が頂く時には「よく頑張ったな」と仰って下さり、刻まれた記録を指さされて目にしますと『Congratulations!』と刻んで下さっていました。
それを見て私は涙が止まりませんでした。
一人一人の部員に贈る言葉が刻まれていて、これまでの3年間は本当にそんな先生の温かいお心遣いあって頑張って来れたと思いました。